←バース解散後の初のソロアルバム(1973年発表)音楽センスは酒落っ気いっぱいの快作。
上田正樹がテレビでブルース・バージョンの「悲しい色やねん」を唄い、「これからの人生は 、
ブルースを唄って生きていく」と語っていた。尊敬するミュージシャンが、今なおワールド・ツアーを行い、
現役ブルース・シンガー、元アニマルズのエリック・バートン。サウス・トウ・サウス時代、日本一のソウルブルースシンガーと
評された。自分の唄いたい歌では食っていけない日本の音楽市場。仕方なく歌謡路線に走ったものの、
ここに来てブルースを唄う人生を選択。
60年代、「朝日のあたる家」でイギリスからアメリカに、白人ブルース旋風を起こしたアニマルズ。そのボーカルの
エリック・バートンは生まれつきシャフター。
上手に唄うことよりも、シャフトすることに徹していた。歳は60代になり、今なおアルバムを発表し続けている。
時が経つと、ミュージシャンの等身大が見えてくる。アメリカの元バーズのロジャー・マッギンの今は、とても清々しい。
紹介するアルバムは、彼のライヴをセレクトした「ライヴ・フロム・マーズ」。冒頭から、エルビス・プレスリーの
「ハート・ブレイク・ホテル」を、アコスティック・ギター一本で唄う。これがロックン・ロールしている。
プレスリーに影響を受けた話も収められ、彼までもがプレスリーか、と驚いてしまった。解説にあたるトークの部分と歌で、
CDは進んでいく。「ミスター・タンブリンマン」のイントロ(頭の)部分は、バッハの「主よ人の望みの喜びを」からヒントを得て、
アレンジしたと。そして一本のアコで歌は始まる。
←ロジャー・マッギンのアコースティックのロックン・ロール・ライヴアルバム
フォーク・ロックがディランとジョン・レノン(ビートルズではない)を合わせて作られた、と話す。 バッハの楽曲創りの手法を取り入れて、アレンジセンスは素晴らしい。 彼が「ミスター・タンブリンマン」をディランに発売前に聞かせた。ディランが、これが自分の曲と気付かなかったというエピソードは、 あまり知られていない。 アイデアが豊富で、いろいろな試みを繰り返しながら、そしてメンバー・チェンジを行いながら、進化した。メンバー・チェンジが 激しかった理由は、彼のワンマン振りを指す評論家がいた。後々のアルバムを聴くと、元メンバーのクロースビーとも共作したりで、 音作り優先で活動していた。サイケ、カントリー、ブルース、ジャジーロック。解散時のメンバーは、クラレンス・ホワイト、 ジーン・パーソンズを名指ししておきたい。ビートルズがライブが出来ない曲作り。その逆を行ったライヴの為のメンバーだったが、 ロックン・ローラーとしてのロジャー・マッギンを評価すべきだ。2006年に4枚組「ザ・フォーク・デン・プロジェクト」。 2007年には新作「ラヴ・フロム・スペイン」を発表。さらに自伝を執筆中。純粋な音楽家であり続ける彼に好感が持てる。