Homeタブレット2号「タブレット」って何?

◎「タブレット」って何?にお答えして


---------------------------------- by Ferdinand M Saika
タブレットの物質的な外観は、
アルケミー的変質によってつくられた物質の
エメラルドグリーン色をした
十二のタブレット(平板)から出来ている。
タブレット

 この雑誌のデザインを依頼されるとき、企画したT氏から、雑誌のタイトルについての相談を受け た。私は当時、それまで三十年勤めた会社を後にして絵描きになる人生の選択をした矢先で、会社を辞 めて生き方を変えるきっかけになったのは、たまたまWEBで目にした内容によるものであった。その サイトには驚くべき言葉が連なっていた。その記事の影響で辿りついた1冊の本が「エメラルド・タブ レット」である。少し難解な、この本に感銘を受けたので、その心を受け継ごうと本の題名としては少 し意味のハッキリとしない「タブレット」という誌名を提案し受け入れられたのである。
私は熱心な神道の家に生れた。今や、私自身は信者では無いが、日頃から「神」信心の環境にいた為に 「目に見えない存在」を何の疑問も無く信じていた。また、多感な時代をグルジェフやシュタイナーを 通して西洋神秘学、シュリ・チンモイ、バグワン・シュリ・ラジネーシなどを通してインド神秘学のさ わりに触れた。それは思い返してみるとミーハー的なゴシップのような触れ合いであり、肝心の意識の 進化に迫ろうとしたものではなかった。40年の歳月が経って、その内容に触れると、昔はそれらの意 味を何にも理解していなかった事に気がつく。「師」は、「弟子」の準備が整った段階でその姿を様々 な形で現す。過去に読んだ本もその「弟子」の準備により「師」となるものなのだ。偶然に開いたWE Bサイト上に突然現れる記事や、本屋でたまたま手にする本は、満を持して準備される「師」としての 存在かもしれない。とにかくそのサイトの記事は、解釈が難しい反面、内容が身に沁みた。その内容は 何冊かの書籍からの抜粋と「瞑想」に関する記事の解説であったが、現在の自分のおかれた状態、また これからのことが自ずと理解でき、妙に得心がいった。記事に引用される主な著者は、「クリシュナム ルティ」「ラマナ・マハリシ」「ニサルガダッタ・マハラジ」「アリス・ベイリー」など魂の聖者とも いうべき「師」の本であった。
特に引用の多い「アリス・ベイリー」は、神智学のブラヴァツキー夫人、アニー・ベサントの系譜を引 く者である。神智学は、様々な宗教や神秘思想、オカルトを真理の下で統合することを目指し、様々な 宗教や神秘主義、オカルトが扱われる、例えば、古代エジプトの神秘主義、ヘルメス思想、ギリシャ哲 学、キリスト教、新プラトン主義、グノーシス主義、カバラ、ヒンドゥー教、ヨーガ、仏教、フリーメ ーソン、薔薇十字団、魔術、錬金術、占星術、心霊主義などである。
宗教、神秘主義、オカルトの奥義は、それが支配する力の大きさや危険性から、選ばれた人間にのみ伝 授され守られてきた。その知識は、自分自身の内的な認識、超能力、神秘体験、霊覚などによって得ら れる。奥義を伝授され、体得している者は、様々な超常的な力を持ち、肉体を長い期間に渡って維持し、 宇宙の諸現象の理解や人類への愛の面で卓越する。。神智学では、それらのオカルトの達人達を「偉大 な魂」や「大師」と呼んでいる。神智学の具体的な思想としては、万物の一元性、宇宙や文明や人種の 周期的な発生と衰退、三位一体の顕現、太陽系や人間の七重構造、厳正な因果律、輪廻転生、太古の文 明、超能力、高次の意識、原子や鉱物や惑星の進化、生命体の進化に伴う天体間の移動、などが説かれ ている。この多岐に渡る神智学の本を調べていくうちに「エメラルド・タブレット」という碑文に辿り ついた訳である。 
「エメラルド・タブレット」は、あらゆる錬金術の基本となる文献で、その13の謎めいた格言は『賢 者の石』の秘密と、宇宙の秘儀を解く鍵と見なされている。その格言がエメラルドの板に刻まれている。 中世ヨーロッパから近代の錬金術師で、これを知らない者などなく、また有名な錬金術師のほとんどが、 この文書への注釈をほどこしている。伝説では、この碑文はヘルメス自身がエメラルドの板に刻んだも ので、ギザの大ピラミッドの内部にあったヘルメス・トリスメギストスの墓から、アブラハムの妻サラ あるいはテュアナのアポロニオスによって発見されたものであるという。あるいは、洞窟の中でエメラ ルドの板に彫りこまれたのをアレクサンダー大王が発見したともいう。現物は存在せず、その写本とい われているものの内容を元にしている。十二世紀にアラビア語からラテン語に翻訳されて中世ヨーロッ パにもたらされた。
この中で、最も有名な言葉は、錬金術の基本原理である「下のものは上のもののごとく、上のものは下 のもののごとし」であるだろう。これは大宇宙と小宇宙の相似ないし照応について述べたものである。 すなわち、下のものと上のもの、小宇宙と大宇宙が本質的に同一であり、またお互いに照応しあってい る、ということである。大宇宙(外界)は小宇宙(人間)を包みこむものであるが、一方でその大宇宙 は人間の内的世界に包みこまれてもいる。人間の心のなかで起こることは、そのまま現実世界でも起こ りうる。この考え方が錬金術、占星術やタロットにも応用され、後にユングによる「シンクロニシティ」 の発見により「科学的な因果律」に対して「秘教的な共時律」による宇宙の真の姿を認識する方法を得 ることになった。
「エメラルド・タブレット」には、この碑文とは別に発行されているものがある。私が手に入れたの は、竜王文庫から出されているドウリル博士編著のものである。 この本の序文の中に「・・・このようにしてトスは三度化身しており、最後の化身ではヘルメスとして知 られている。この化身の時に、トスは近代神秘学徒がエメラルド・タブレットといっている書物を残した が、これは古代の神秘の探求としては、ずっと後のもので、すっと低級なものである。」と書かれている。 前出の碑文は、トスが3度目に生まれ変わった時に、メモを残した程度だから、簡単に端折っているので レベルが低い。しかし同じ「方」が書かれたものですよ!と言っているようだ。 この「トス」は誰なのか、序文の冒頭にこうある「・・・驚く程、古いもので、紀元前三万六千年に出来 たと云われている。著者はアトランティスの僧侶王で、母国アトランティスの沈没後、古代エジプトに植 民地をつくったトスである。・・・」この「トス」は地下にある「アメンティ」と呼ばれる広間の入口の 上にギゼの大ピラミッドを建設し、古代の智慧と古代アトランティスの記録と器械を隠した。その中に保 管されていたのが本物?の「エメラルド・タブレット」である。エメラルドグリーン色をした十二の平板 から出来ており全部で十二部になる、その中の十部が十三章に分けられている。最後の二部は、非常に深 淵で、到底人智には理解できないので、公開されていない。紀元前千三百年頃エジプトの荒廃時に、特任 のピラミッド僧によりタブレットは、ユカタン半島に移され、マヤ族の大寺院の祭壇下に収められ、忘れ られた。しかし、この編者はタブレットを探し出し、エジプトの大ピラミッドに返すことの啓示を受け、 これを成し遂げた。そのタブレットを返納するときに、彫られている神智の写しを翻訳し保持する許可を 得、一九二五年に編集が終わり、一九三九年に公開する許しを得た。
序文の締めくくりに「多くの人々は冷笑することだろう。だが、真実の学徒は、行間を読みとり、神智を 得ることだろう。もし、読者の心の中に光があるならば、このタブレットに刻み込まれている光が諸君の 光に応ずることだろう。……読め、信じようが信じまいが、とにかく読め。そうすれば、タブレットの中 にあるヴァイブレーションは諸君の魂の中のヴァイブレーションと応感することだろう。 大宇宙の調和 の中で」と書かれている。
この雑誌「タブレット」を読むときも、是非行間を読んでいただきたい。そして読んでいる自分を観察し てほしい。きっかけは何でも良い、自分の内面を見つめてその声に耳をすますと、成長しようとしてい る内側の芽生えのかすかな存在に気づくはず。意識の次元でとらえるとき、隠された叡智の宝庫は無数に 広がっている、どの道をたどるかは、その人しだいだが、その歩み方ならすべてが「正解」。
by Ferdinand M Saika



エメラルド






エメラルド・タブレット
M・ドウリル編著  田中 恵美子 訳 竜王文庫
定価 1785円(本体:1700+税) A5版 161頁

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