写真の2人は娘と母。娘は北九大を卒業後、金融関連の企業に勤めた。その業界にあこがれて入って、頑張った。 成績も良かった。が、永年勤めた会社を辞めて、母の指導のもとタイ式マッサージの道を志した。よく聞く話ではあ るが、自己の尊厳やアイデンティティ を得るために、人は過去と訣別しなければならない時がある。若くしては、 その判断が出来ないこともある。そして自分の過去を捨て切れないこともある。それが一人ひとりの人生で、 生き方だ。
タイ式マッサージはタイ国の伝統医学のひとつで、歴史は二千五百年前まで遡る。源流はインドにあり、中国の東洋
哲学、医学とも融合され、タイで発展していった。タイでは病気をわずらった人達の約半数がタイ式マッサージで治
療を受ける。指圧、マッサージ、ストレッチ、整体、それらの要素が取り入れられて、東洋医学でいう経絡と五臓六
腑の理論が息づいている。経 絡とは気や血の流れと共に存在する生命エネルギーの道で、西洋医学にはない、病気
を治す力を体全体、心、精神とも関わる気の力で強める施術だ。鍼灸の世界にとても考え方が似ている。そして技が
つまりタイ式マッサージにしろ、気功、鍼灸などは技術職であり、本来は医学としての役割をも果たせる療法である
が、現実問題としては名人級と出会えるチャンスが少なく、また名人級と言える施術師が非常に少ない。ほとんどの
人達がその情報を得る方法が分からないし、また名人級の施術を受けていないがために、無駄なお金を使っていると
言える。筆者は名人を探すために、北九州市内約五十の鍼灸院を回った。マッサージも三百人以上の技術者から施術
を体で調べた。これはジャーナリストとしての好奇心、使命感が働くからできるのだ。こんな客はとても嫌がられる。
しかし名人と出会えた時は感動する。だから自信を持って活字にできる。
占いの世界にしろ、とんでもない自称占い師がいる。政治家にしろ、しかり。
母親の指はドラえもんの手 (指?) のように弾力があり、驚いた。こんな手は初めてで、ドラえもんのような世界に
浸ることができ、壮快に心身を蘇生してくれた。娘の指は気功を学んでいるだけあり、若い気が体にどんどん入って
くる。どちらも素晴らしい。母と娘は信頼と向上心で強く結ばれた親子で、師匠と弟子の関係でもある。